レンズ越しの君へ
「初めてお前を見た時、この仕事に向いてないと思った……」


「えっ?」


店長の言葉に、すごく驚いた。


だって…


まだ付き合う前の廉にも、同じような言葉を言われた事があったから…。


「緊張しながら、慣れない酒を必死に飲んで……」


店長の言葉で、入店した頃の事を思い出す。


「外見は今よりもっと幼くて、メイクや髪も随分地味だったな……」


店長はそう言って、クスクスと笑った。


「ヘルプ時代はメイクも髪も自分でしなくちゃいけないけど、慣れてなくて上手く出来なかったから……」


そう言ったあたしも、何だか笑いが込み上げて来た。


「俺は、お前がすぐに辞めると思ってた……」


店長は呟くように話した後、ゆっくりと煙を吐き出した。


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