レンズ越しの君へ
「どんなに怒っても、絶対に辞めねぇし……。陰でよく泣いてたくせに、ホールにいる時はケロッと笑ってるし……」


あたしが陰で泣いてた事、店長は知ってたんだ……


目を見開いていると、店長がどこか自慢げに笑った。


「そんなお前を見てて……こいつは絶対に、すぐにナンバークラスになるって思ったよ!」


店長の言葉が嬉しくて、あたしから笑みが零れた。


「お前とアヤがいなかったら俺だってここまで来れなかったし、たぶん敏腕だと言われる事もなかっただろうな……」


しみじみと言った店長は、厳しい顔付きであたしを見た。


そして…


「だから……この店を守る為にも、お前を辞めさせる事は出来ない!」


厳しい口調でキッパリと言い放って、また新しいタバコに火を点けた。


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