レンズ越しの君へ
それからしばらく眠って、目が覚めたのは昼前だった。


「廉っ!!起きてっ!!」


あたしは隣で眠っている廉の体を揺すった後、慌ててベッドから出た。


嵐と約束した時間までにはまだ余裕があるけど、身支度を整えるのに時間が掛かってしまう。


「廉!今日は、朝昼兼用にしてねっ!!」


「はいはい……」


廉は返事をしながらも全く慌てる素振りも無くて、ソファーでタバコを吸いながら新聞を読んでいる。


緊張しているあたしの気も知らないで呑気に過ごす彼が、ほんの少しだけ恨めしい。


あの時、二度寝なんてするんじゃなかった……


廉のバカッ……!


急いで食事の支度をしながら、心の中で廉に八つ当たりをしていた。


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