レンズ越しの君へ
あたし達は家を出て、車で実家の最寄り駅に向かった。


「嵐に連絡したのか?」


「今から電話するね」


携帯を開いて発信ボタンを押すと、数回のコールの後で嵐が電話に出た。


「もしもし、澪?」


「うん。今、出たから……」


嵐の声を聞くと、いよいよ実家に行くんだと言う緊張感に襲われ、あたしの頭の中は不安でいっぱいになった。


「どれくらいで来れる?」


「空いてるみたいだから、30分くらいで着くと思うけど……」


「わかった!じゃあな♪」


「うん……」


電話を切った後、思わずため息が零れた。


あたしは窓の外の景色を見つめながら、必死に不安を抑えようとしていた。


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