レンズ越しの君へ
実家の最寄り駅に着くと、先に嵐が来ていた。


「嵐!こっち!」


あたしは車の窓から身を乗り出し、手を振った。


すぐに気付いた嵐は、手を振りながら駆け寄って来ると、車の後部席に乗った。


「悪いな、嵐!」


「いえ!」


廉の言葉に、嵐がニッコリと笑った。


「ごめんね、勉強しなきゃいけないのに……」


あたしが申し訳なく思っていると、嵐は得意気に笑った。


「いや、大丈夫!俺、M大志望だから♪」


「えっ!?どうして……?」


嵐の志望校を聞いて、すごく驚いた。


高校を首席で入学した嵐の成績は、今までずっと上位だった。


だから国立大学でも大丈夫なハズなのに、すぐ近くにある普通の私立大学なんて…。


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