レンズ越しの君へ
「ただいま〜!」


嵐はごく普通にそう言って、リビングに入った。


あたしの手を引いて、後ろにいる廉も促して…。


「あら、おかえり」


そう言いながら笑顔でこっちを見た母の顔が、一瞬で驚きの表情へと変わった。


「あっ……!みっ……澪……?」


あたしは何を言えばいいのかわからなくて、その場で俯いた。


「話したい事があるから、澪に来て貰った。父さんは?」


「い、今は……寝室に………」


嵐があたしの代わりに説明をすると、母は震える声で答えた。


「父さーん!ちょっと来て!」


頷いた嵐が大声で呼ぶと、すぐに父が隣の寝室からリビングに来た。


「嵐、何なんだ?そんな大声を出し……なっ!?……澪!?」


< 301 / 404 >

この作品をシェア

pagetop