レンズ越しの君へ
廉との約束の日。


あたしは昼前にシャワーを浴びた後、メイクをした。


落ち着かない気持ちのまま、着て行く服を選ぶ。


いつもならすぐに決まる服も、今日は中々決められなかった。


あたしが悩んでいると、仕事用の携帯が鳴った。


【廉】


「もしもし?俺だけど……」


「あっ、うん。おはよ」


「今日ラフな服装で来いよ」


「えっ……?うん、わかった……」


「じゃあな」


廉は最後に短く言うと、一方的に電話を切った。


彼の言葉の意味はわからなかったけど、とりあえず言われた通りにラフな服を選んだ。


結局、長袖の小花柄チュニックと黒いジャケットに、デニムのショートパンツとニーハイブーツにした。


中々服が決まらなかったせいで、廉との約束の時間までギリギリになってしまった。


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