レンズ越しの君へ
廉は荷物を床に置くと、ゆっくりと一輝に近付いた。


「モデル出来ない顔にしてやろうか?」


「廉っ……!」


一輝にそう言った廉の腕を、必死に引っ張った。


「廉、帰ろう!ねっ!?」


廉は今にも一輝に殴り掛かりそうだけど、一輝は余裕の笑みを浮かべている。


「お前、二度とカメラ触れなくなるよ?」


意味深な言葉を吐いた一輝に、廉も余裕の笑みを見せた。


「だったら、何だよ?俺は、澪の為ならそんなもん惜しくねぇよっ!!」


「やめてっ!!廉、お願いだから帰ろう!」


廉が良くても、あたしは嫌。


「あたしは、廉の写真が好きなのっ……!」


必死に訴えながら、涙が溢れてしまいそうだった。


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