レンズ越しの君へ
「どこ行くの?」


あたしが声を掛けると、廉は立ち止まって振り返った。


「海」


「海っ!?」


「……の前に、飯だな」


よくわからないまま廉に手を引かれてホテルを出ると、すぐ近くに彼の車が停めてあった。


ミステリアスな雰囲気を纏う廉らしい漆黒のボディーは、彼によく似合う気がした。


「乗れ」


そんな事を考えていると、廉があたしを見下ろしながら助手席のドアを開けた。


言われるがままに車に乗ると、彼は車を出した。


「お前、何食いたい?」


「え、あたし……?別に何でもイイよ。廉は?」


廉はあたしの顔をチラッと見ると、視線を前に戻して真剣な表情で口を開いた。


「お前……」


「えっ!?」


驚いて変な声を上げてしまったあたしに、廉が意地悪な笑顔を見せた。


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