レンズ越しの君へ
廉の実家に着くと、彼はあたしを家の中へと促した。


自分の実家だから、当たり前なのかもしれないけど…


廉がいつもインターホンも押さずに普通に家の中に入る事が、あたしには不思議で堪らなかった。


リビングに行くと、ソファーにパパとママが仲良く座っていた。


「「澪ちゃん!」」


満面の笑みで声を揃えた二人に、あたしまで笑顔になった。


「こんにちは!」


「っつーか、自分の息子より先に、澪に反応するのかよ……」


「だって、廉はちっとも可愛いげがないんだもの!ほら、早く座って!」


ママの言葉にクスクスと笑いながら、あたしはパパの向かいのソファーに座った。


廉は眉をしかめてため息をつきながら、あたしの隣に座った。


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