レンズ越しの君へ
「兄貴は、たぶん式には出られないだろ?」


廉には、一つ上のお兄さんがいる。


だけど…


1年くらい前から海外で仕事をしているらしくて、まだ一度も会った事が無かった。


「難しいんじゃないかしら……」


残念そうなママに、パパも大きく頷いた。


「残念だけど……。仕事だから仕方ないですよ」


あたしが微笑むと、パパとママは申し訳なさそうに笑った。


「連絡はしておくわね」


そう言ってくれたママにお礼を言って、あたし達は帰る事にした。


パパもママも、夕食を食べていくように勧めてくれたけど…


廉が断ったから、あたしも申し訳なく思いながら断った。


残念そうな二人に頭を下げて、あたし達は彼の実家を後にした。


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