レンズ越しの君へ
「楽しかったね♪」


笑顔で声を弾ませたあたしに反して、廉が深いため息をついた。


「俺は疲れた……」


彼は呟きながらリビングのソファーに座って、タバコに火を点けた。


あたしもソファーに座って、廉の肩に寄り掛かった。


「どうした?」


「幸せだなぁ、と思って……」


廉の質問に笑顔で答えると、彼はあたしの頭をポンポンと撫でた。


あたしにとって一番居心地のいい場所は、廉の隣。


彼の隣にいると、すごく落ち着く。


“楽しい”とか“嬉しい”って言う感情的な表現よりも、“居心地がいい”って言う表現がピッタリだと思う。


これからも、ずっと廉の隣にいたい……


あたしは、心の底からそう思っていた。


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