レンズ越しの君へ
「そうでしたか。ご結婚、おめでとうございます!」


店員は目尻にシワを刻んで、ニッコリと微笑んだ。


「ありがとうございます」


廉も笑みを浮かべて、言葉を返した。


50代くらいの男性店員は、笑った時に目尻に刻まれたシワが柔らかい雰囲気を醸(カモ)し出していて、優しそうに見える。


「お前、どこがイイ?」


「えっ!?あたしっ!?」


傍観していたあたしは、不意に話を振られて驚いた。


「新婚旅行、行くだろ?」


「あ、うん……」


まだ抱いたままの戸惑いを隠して、小さく頷いた。


「海外と国内、どちらをご希望されますか?」


「えっと、海外かな……」


少しだけ考えた後、控えめに答えた。


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