レンズ越しの君へ
「ユイさん、三番テーブルでご指名です」


黒服にまた呼ばれたあたしは、頷きながら席を立った。


「ごめんね、田島さん。すぐに戻るから」


「気にするな！」


笑顔で言ってくれた田島さんにニコッと笑って頭を下げ、急いで三番テーブルに向かった。


「こんばんは、ユイです。ご指名ありがとうございます」


あたしは名刺を渡しながら、笑顔で挨拶をした。


テーブルに座っていたのは、二人の若い男の人。


「へぇ〜！君がユイちゃん？可愛いねっ♪」


いかにもチャラ男と言う感じの男が、あたしを見ながらニコッと笑った。


あたしは笑顔を返して、もう一人のお客を見た。


こんな店には似合わないような物静かな雰囲気の男は、あたしの事をほんの一瞬だけ見たかと思うとすぐに視線を逸らしてしまった。


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