レンズ越しの君へ
「えっと、とりあえず何かお作りしますね」


「うん!」


「何がイイですか?」


「俺はね〜……」


あたしは席に着いてメニューを訊き、お酒を作りながら二人に話し掛けた。


「この店は初めてですか?」


「俺は二回目だけど、こいつは初めてだよ。まぁ俺も随分前に来たきりだから、初めてみたいなもんかな〜」


チャラ男っぽい人が、笑顔で言った。


「そうなんですか。あっ!そういえば、お名前……」


「あぁ、ごめんね。俺は太一(タイチ)で、こっちは廉(レン)」


「お二人はお友達なんですか?それとも……お仕事のご関係?」


あたしはお酒を出しながら、廉と呼ばれた男を見た。


見た目がチャラチャラした感じの太一とは違って、廉はどこか大人っぽくて寂しい感じがする男だと思った。


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