レンズ越しの君へ
「俺はすぐに帰るからな。ユイは他の客の指名もあって、どうせ忙しいだろうし……」


「いつも気を遣って貰って、すみません」


気遣ってくれる田島さんに申し訳なさを感じて、苦笑を零した。


「こらこら、そんな顔するな!今日はめでたい日なんだからな!」


田島さんはニコッと笑うと、もう一度グラスを上げた。


「はい!じゃあ、乾杯♪」


あたし達は二度目の乾杯をして、ドンペリを一気に飲んだ。


しばらくすると黒服に呼ばれて、またテーブルを移動した。


それからも、あちこちのテーブルに動き回っているうちに時間が経ち、23時前に廉が来た。


だけど…


あたしのお客は全然切れなくて、廉の所には中々行けなかった。


やっと彼のテーブルに着いた時には日付が変わる5分程前で、あたしは申し訳なさを感じながら開口一番謝った。


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