同じ空の下で

「え、でも…。」


知らない男の子からいきなりもらえない。


「ジュースでも飲んだら、ちょっとはスッキリするよ?」


私のため…?


「……ありがとう?」


「あははっ!どういたしましてっ!」


―ブーブーッ


男の子の携帯が鳴った。


「あ。ヤベッ。ゴメンね、涙ちゃん。俺、人と待ち合わせしてるんだ。」


「…はぁ。」


「もう少し話していたいけど、時間に遅れるとヤバイから俺行くね?」


「…どうぞ。」


「あははっ!なんか、最後まで冷たいね、涙ちゃん。」


そりゃあ、知らない親切な男の子が相手じゃね。


「じゃあねっ。涙ちゃんっ!」


「…さよなら。」


男の子はバイバイって言って行ってしまった。





何だったんだ……?





あ。



ジュース。




……、飲もうかな。




あの人のお気に入りらしいし。







私は謎の少年からもらった、謎のジュースを飲んだ。



なんだか、本当にスッキリした。


少しだけだけど。



ジュースは魔法のジュースだった。

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