同じ空の下で
「じゃあ、今日はめいいっぱい楽しんできてっ!」
「うん。…ありがとう?」
「あははっ!どういたしましてっ!」
橘くんはまた楽しそうに笑った。
ちょっとだけ羨ましかった。
それだけの笑顔をいつも持っている事が。
私はもう自信がない。
心のどこかで思ってしまう。
今のこの楽しみもいつかは消えるって。
「じゃあ、ゆうなちゃん。バイバイっ!また、明日な!」
「…うん。バイバイ。」
前を歩いて行ってしまう橘くんの背中は私には羽があるように見えた。
天使の羽。
決して、恋とか好きとかの気持ちみたいにそんな風に見えた訳じゃない。
ただ、純粋にそう見えただけ。
私が無くしてしまったものを綺麗に持っている。
私とはまるで真逆の世界にいるよう。
ふわっと優しく風が吹いた。
橘くんの羽が空に舞った気がした。