姫取物語
いきなり周りが騒々しだした。


あれ? なんかいきなり曲が変わった?

んー? でも変わってない……?

「あれぇ……?」

かぐやは琴を弾く手を止めてしまった。

「どうかなさいました?」

「ホントに弾いてた?」

「弾いてましたよ?」

「ホントにぃ?」

「えぇ」

「この勝負お嬢ちゃんの負けだねぇ……」

「え?! 何で!?」

「お嬢ちゃんは演奏を止めちゃったじゃないか」

「うっ……」

「楽しかったです」

「本当に? あんなちょっとしか弾いてないのに?!」

「えぇ、とても」

そう言ってからふふっと笑った。

これが本当の女の子……動きは帝よりも柔らかく、洗練されている……。

「名前……」

「はい?」
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