姫取物語
「雅人さんお強いのですね」

「ありがとうございます。ですが智隼さん?」

「はい?」

「手を抜くのは如何かと……」

「……バレてましたか……」

「え?! 智隼さん、手抜いてたの?!」

「えぇ……」

「困るー! 勝ってよー」

帝が勝ったら俺がキスしなきゃなんないじゃん!

「はい、かしこま……え?」

「雅さん……?」

二人ともなんで? って顔してる。

「だって帝が負けんの見たくない?!」

「なっ?! 馬鹿!」

「……みかど……?」

「え? ……あ?!」

まずい、と気付いて口を押さえた時にはもう遅い。

「帝って……?」

「時の人……ですよね?」

時の人とは今代の帝の事。

「雅人さんが……?」

「……いかにも」

そう言いながら帝は頭にある市女笠取った。
邪魔で邪魔で仕方なかったらしい。

「あら、大変」

意外と冷静な美麗。

「す……すみません! 帝に勝負を申し込むなんて……!!」

智隼はいきなり帝に謝りだした。

「別に気にしねぇし……」

帝はぶすーっとしてる。

かぐやに帝とバラされたのがすごく気にいらなかったんだろう。
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