姫取物語
「く……っ」

ヤバい……思ったよりも全然強い……!

手を抜いてたのは帝の方なんじゃないのか……?

「隙だらけ……!」

「くそ……っ」

間一髪で帝の剣を避ける。

そして間合いを……取れない……?!

「……考え事ですか?」

いっきに詰められ、

「いいえ……」

「そうですか?」

そして帝が一気に踏み込む!

「……弱い」

帝がそう言うと同時に智隼の剣が再び宙を舞った。

「は……っ」

智隼は地面に座り込み肩で息をする。

帝は息が全く乱れていない。

「智隼さん」

「は……い?」

「また、お相手願えますか?」

「……私なんかでは相手にならないのでは……?」

すぐに勝負がついてしまったし……。

「こんなに本気になったの久しぶりです」

「はい?」

久しぶり……?

「あなたは充分強いですよ。智隼さん」

「ありがとうございます……」

負けたのは久しぶりだ……。
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