姫取物語
「では、かぐやをお願いします。後でお粥を持ってきますので……」

「お願いします」

お婆様が出ていった。
やっぱり、自分の子供だから心配なんだろうなぁ……。

「さて……」

だいぶ仕事がたまっているはずだから、仕事をしながらかぐやの看病をしようかな……。

と思い、かぐやに背を向け……た?

「……?」

直衣の裾を引っ張られた感覚に陥り、後ろを振り向く。

「……どうした?」

「え……?」

「今、裾を引っ張ったでしょ?」

「引っ張ってないもん……」

「……ウソつき」

布団から出て裾を持つ手は引っ張ったことを正直に伝えている。

「?」

「手がつかんだままだよ」

「……っ!」
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