姫取物語
「かぐや?」

「ん……?」

「どうしたの?」

「?」

何が……?

「いつの間に俺の隣に来たの?」

「……へ?」

そう答えた瞬間視界が揺らいだ。

「かぐや?!」

「……俺……さっきまで寝てなかった……?」

そう。
自分でも知らないうちに帝の隣に座っていたのだ。そして倒れた。

「全く……寝てなきゃダメでしょ?」

病人なんだから。
ちなみにかぐやの熱の原因は疲労と寒さによるものらしい。つまり外に長時間居たのがマズかった、ということだ。


「……だ……」

「ん?」

かぐやの手が裾を掴む。

「……やだ……」

「え……?」

「一人は……嫌……」

言っちゃダメだったのに……我慢してたのに、ダメだった……寂しいよ……。
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