姫取物語
先ほどから聞こえる音は帝が筆を走らせる音だけ。

俺はぼんやりしてるだけ……。


「姫どうしても話してくれないんですか?」

あと帝が話す声か……。

「……」

「ちぇー……」

帝って何歳なんだろう……。

「姫って字書けますか?」

「……」

首を縦に振る。
字ぐらい書ける。

「じゃぁ筆談しましょう? 私は話すので姫は紙に書いてください」

なるほど?
それなら俺は話さなくて良いのか。


「どうぞ? 好きなこと書いてください」

何でもって一番困るんだよな……。

じゃぁ……。

「何歳? って……俺いくつに見えますか?」


うーん……俺に求婚しに来たぐらいだから……十六ぐらいかなぁ……。


「十六に見えるんですか?」

「……」

一応見える。
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