姫取物語
第弐拾壱夜
「ふぇ……」

「お疲れ様」

「疲れたぁ……」

本当によっぽど疲れたのか、かぐやは、体の力を抜き帝に寄り掛かる。

帝は面が邪魔なので面を取った。

「かぐやって歌、詠めたんだね」

かぐやの頭を優しく撫でながら問い掛ける。

「なんか頭の中にいきなり浮かんできたの……」

「そうなの?」

「うん……」

それにしても……。

「素晴らしい歌だったよ」

仏の御石の鉢について何かを教えたわけでもないのに、仏の御石の鉢の全てを知っているかのような歌だった。

「へへっ」

ほんのりと頬を赤くして褒められたことを喜ぶかぐやはものすごく可愛い。

その様子を見た帝は優しく微笑んだ。
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