姫取物語
「良い香り……」

「そうだねぇ……」

「……帝の香りはどこからするの?」

まさか帝自身からこの香りが発せられているとか?! 帝ってまさかの柊木犀の精霊?

嫌だ! どうしよう……こんなに素敵な花の精霊がこんな変態で良いの?!

「かぐや何考えてんの?」

「帝って実は精霊? って考えてた」

「かぐやって馬鹿だよね」

「……馬鹿じゃないし」

「かぐやは馬鹿だよ」

「うぅ……」

言い切られてしまうと何も言い返せないのだが……。

「ほら。これから香りがしてるんだよ」

差し出されたのは匂袋。

「ふゎー……」

とても良い香りがする匂袋だ。
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