姫取物語
「さ、もう部屋に戻ろうか?」

もう空が茜色に染まってきた。辺りはかぐやのおかげか、まだまだ明るいのだが、寒くなってきたし……。

「えー! もう戻るのー?!」

「うん」

「もうちょっとー!」

「だーめ。かぐやの手、こんなに冷えてるのに……」

「あわわ……」

帝がかぐやの手を握ってかぐやの手に息をハァッと吹き掛ける。

「ね? 戻ろう?」

「うん……」
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