姫取物語
「で? 何々?」

「いやぁ……かぐや用に十二単を作ろうと思ってるんだけどねぇ……何か気に入る生地はあるかい?」

と、婆さんの目の前にはたくさんの生地。

「え……うーん……」

気に入る生地といっても婆さんの買ってくる生地は良いものばかりだ……。
この中から選べと言われても、良いものばかりで選ぶのに時間がかかる……。
この前は二時間弱迷い続けていたらしい(帝談)。

「婆さんにはこの辺が良いと思ったんだけどねぇ……」

と手に取ったのは色とりどりの蝶の柄と牡丹の華が描かれた生地と、たくさんの桜の花弁と、桜の華と扇が描かれた生地、それからたくさんの菊の華と扇が描かれた生地だ。
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