姫取物語
第弐拾四夜
「雅さん、なんだか元気がありませんわ」

「え?」

「ほら、今もぼんやりなさって……」

「俺元気だけど……?」

「でも琴を弾く手が止まってますわ」

「あ……」

「それに何度も間違えてましたもの」

「う"……」

「何かありましたの?」

「うぅ"……」

「雅さん?」

「美麗ーっ!」

なんだか堪らなくなってかぐやは美麗に抱き付いた。

「あらあら……」

美麗は急に泣き出したかぐやを驚きもせず、優しく包み込んだ。
< 198 / 210 >

この作品をシェア

pagetop