姫取物語
第弐拾伍夜
キン! と鉄同士がぶつかる音がして、その後に砂を磨る音がする。剣が砂の上を滑る音が聞こえないあたりこの手合わせ、なかなか互角のようだ……。
「智隼さん、腕が上がりましたね」
「そういう雅人さんこそ……以前もお上手でしたが、さらに」
「またまた……」
「秘密の特訓でも?」
「いえいえ、昔の感覚が戻ってきただけですよ」
「完全に戻った頃が怖いですね……」
「俺も完全に戻った頃が怖いです」
「それでは、俺も負けないようにしなきゃですね」
「おや、そのままで良いのに……」
「……」
「智隼さん、腕が上がりましたね」
「そういう雅人さんこそ……以前もお上手でしたが、さらに」
「またまた……」
「秘密の特訓でも?」
「いえいえ、昔の感覚が戻ってきただけですよ」
「完全に戻った頃が怖いですね……」
「俺も完全に戻った頃が怖いです」
「それでは、俺も負けないようにしなきゃですね」
「おや、そのままで良いのに……」
「……」