姫取物語
ふと空を見ればもう陽が沈みかけていて、天は濃紺、下に行くに従って、青紫、赤紫、橙色と色が移りゆく最中であった。
そして動きを止めれば、手合わせ中には気付かなかった冬の風の冷たさに身を縮める。

「部屋に戻りましょうか」

「そうですね。暗くなってきましたし……」

暗くなってきた、と言うことは、美麗達の帰る時間だ。
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