姫取物語
「美麗様ー帰りますよー」

智隼は外から帝とともに帰り、美麗に声を掛けた。

「あら……もうそんな時間なのね」

かぐやと楽しく談笑していた美麗は智隼の言葉を聞き、かぐやに、ではまた今度……。と声を掛けたその瞬間! かぐやは美麗に抱き付いた。

「えー! 嫌だー! 美麗帰っちゃ嫌だー!」

「ちょっ……雅さん?!」

「かぐやには俺が居るじゃん?」

「嫌だ!! 美麗が良い!」

ぎゅ〜っ! と力を込め、美麗に精一杯に抱き付くかぐや。いや、精一杯に抱き付いてはいるが、実際は美麗が簡単に解ける程の力しか入っていない。

「かーぐーやー?!」

「げっ!? だって、本当のことだもん!」

「まぁまぁ、二人とも落ち着いて」
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