姫取物語
「へ……?」

「せっかく綺麗だったのに」

「ゲッ! 帝じゃん……」

「もー酷いですねぇ」

帝が隣に座ってきた。
だから少し離れようとした。

「ダメ」

腕を掴まれた。

「離して」

「離さないって言ったら?」

「離してよ」

また変なことする気でしょ?

「離さないよ?」

「……離してっ!!」

力任せに振りほどこうとした。が、やはり力の差がある。帝は武術の達人だと聞いたことがある……。

「な……で……?」

「ん?」

「なんで……離して、くれな……の……?」

別に男じゃなくても良いじゃん……女ならいっぱいいるんでしょ……?

「何言ってんの?」

「うわっ!?」

急に帝に抱き締められた。

「……ざけんなっ!」

「ふざけてないよ……?」
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