姫取物語
一体どうしたものか……。

「ですから私めと」

「いえ、私と」

「我の妻になったほうが」

「俺と」

「いや、ボクと」

「結婚してください!」

世に言う熱心な五人の貴公子だ。

ただ俺は首を横にふるだけ……。

帝? 帝は隣の部屋に居るよ?
飛び出してこなきゃ良いんだけど……。

「なぜですか?!」

「理由を!!」

俺は話せないから笑顔だけを返す。


な ん で 五人で来るんだ……。

「私は諦めませんからね!!」

「我は明日も来ます……」

「俺だって!」

「ボクだって明日も来ます!」




来なくて良いよ。
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