姫取物語
第捌夜
「これを……」

五人に手紙を渡す。

「これは何ですか?」

五人の豚は昨日はあきらめて帰ったが今日、また訪ねて来た。

「読めば分かります」

「かぐや姫に聞いてるのですが……」

「姫は大きい声で話せないので」

よく考えたものだ。帝は俺が話せないのを大きい声で話せないということにしている。

「む……」

「読んでくれたか聞いて。そんで早く探しに行かせてよ……」

早く平和な毎日が訪れてほしい。

「はいはい」

帝の声も面を付けてしまえばくぐもって元の声には聞こえない。

爺さんマジで良い考えだ。
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