Love story's
虹ちゃんから逃げるように、すぐ傍にあった段ボールのガムテープを剥がした。


こんなにもドキドキしている事を知られたくなくて、彼に背中を向けて荷物を出していく。


そんなあたしの心を見透かすように、虹ちゃんがまたクッと笑った。


彼に翻弄されているのは悔しいけど、心地好いとすら思える柔らかなくすぐったさのせいで、怒る事も拗ねる事も出来ない。


「俺、向こうで片付けてるから」


虹ちゃんに背中を向けたまま頷いたあたしは、色んな気持ちを誤魔化す為に必死に荷解きをした――…。


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