Love story's
それでもからかう事をやめようとはしない皆に呆れたのか、香坂君が小さなため息をついた。


「場所変えよ」


そして、あたしだけに聞こえるように囁かれた後、体が引っ張られた。


「えっ?ちょっ……!?」


手首を掴まれたあたしは、走り出した香坂君に戸惑う暇も無いまま付いて行くしか無い。


背中にまた『ヒュ〜!』と囃し立てる声を受けながら、目の前の彼を追うだけで精一杯だった。


冷たい空気が漂う廊下を通過して靴を履き替え、風を切るように走ってやっと駐輪場に着いた。


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