Love story's
「のえる」


ふと優しく呼ばれて、香坂君を真っ直ぐ見つめる。


彼は柔らかく微笑んだ後、あたしの体を引き寄せた。


「俺も同じ」


フワリと鼻を掠めたのはどこかホッとする香りなのに、あたしの心臓はドキドキと暴れ始める。


「のえるに会いたくて堪らんくて、夜中に会いに行こうかと思ったくらいやってんで」


嬉しくて堪らないのに、何て言えばいいのかわからなくて…


あたしは言葉の代わりに、宙ぶらりんだった腕を恐る恐る香坂君の背中に回してみた。


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