Love story's
「ただいま」


ソファーで蹲(ウズクマ)るようにしていたあたしの耳に、優しい声が届いた。


反射的に顔を上げたあたしを見た冬夜が、困ったように微笑む。


「どうした?」


すぐに異変に気付いてくれた彼がソファーに腰を下ろし、あたしの体を優しく抱き締めた。


その温もりに誘(イザナ)われそうになる涙を我慢しながら、謝罪の言葉を小さく零す。


「ごめんなさい……」


「ん?俺、謝られるような事されてないけど?」


体を離した冬夜は、あたしの顔を覗き込みながら頬に触れた直後、眉を寄せて苦笑した。


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