Love story's
教室に戻ると、学ランをきちんと着熟(キコナ)した信二がギョッとした顔を見せた。


「どうしたんだよ、染井!」


目を見開いたまま俺の頬をまじまじと見る信二に、ため息混じりに口を開く。


「……女に殴られた」


「はっ!?いやいや、普通に引っ掻き傷になってるぞ!」


「……あいつの爪、長かったからな」


「っつーか、どんな状況になれば女に殴られるんだよ!」


「知らねぇ……」


「そんな訳ねぇだろ」


とうとう答えるのも面倒臭くなって机に突っ伏すと、頭上から大きなため息が落ちて来た。


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