Love story's
校舎から死角になっている裏庭は静かで、誰にも邪魔をされずに済みそうだ。


ついさっき、女から平手打ちを貰った場所から程近い所で咲いている桜の木の下に座り、咥えたタバコに火を点けてからヒラヒラと降って来る花びらをぼんやりと見ていた。


彼女を傷付けた俺を戒めるように、信二の言葉が頭の中で繰り返し流れる。


「そうだよな……」


信二が言っていたのは、要するに『中途半端な優しさは余計に傷付けるだけ』って事だろう…。


確かに、どうせ相手の気持ちに応えられないのなら、いっそ最初からとことん冷たくした方がずっといいのかもしれない。


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