Love story's
「そんな顔するなよ……」


あたしの視線に気付いた廉が、呆れたように眉を寄せた。


「だって……」


「Shikiって付けたのは、俺じゃないんだよ」


「え?じゃあ、誰?」


目を見開きながら訊くと、廉が小さく笑った。


「昔、世話になってた事務所の人……。まぁ、俺のカメラの師匠ってとこかな……」


「そうなんだ……」


廉が他人に考えて貰った名前で活動するなんて、何だか意外な感じがして…


あたしは、少しだけ驚きながら瞬きをした。


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