Love story's
「帰ろか……」


しばらく黙っていた雷が、まだ真っ赤な顔のまま言った。


その様子に、ついクスッと笑ってしまう。


「今、俺の事バカにしたやろ?」


雷は少しだけ眉をしかめ、立ち上がったあたしを見下ろした。


「別にっ♪」


あたしは明るく言った後、またクスッと笑った。


「……お前、後で覚えとけよ。今日は絶対寝かせへんからな」


ほんの少しだけ不機嫌な顔を見せて歩き出した雷の後を追って、あたしよりも大きな彼の手をギュッと握った。


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