※ご主人様は完璧王子?※




『…あ…りがとう………龍ヶ峰…様………』


すると龍ヶ峰はあたしを抱き締めたままふるふると首を振った。


「……想……………」


『え……?』



「…今……だけは…“想”ってよんでくれないか………?

今この時の一瞬だけは召使と主人じゃなくて、対等な立場にいたいんだ…………」



まるでドラマのような甘いセリフ。
でも、その声は切なくなるほど苦しそうで、でも生きてて良かったと思えるほどあたしを心配してたことが伝わってあたしの目からは嬉し涙か哀し涙か分からない涙がぽろぽろとあふれ出た。



その涙を拭うことなくあたしは、ただただ頷いてまるでその言葉しか知らない赤子のように『想……想…………』と繰り返し繰り返し王子様の名をよんだ。





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