ひとひらの願い―幕末動乱―
本当は剣道部主将。

でもそんなこと言ったところで、分かるはずもないし……


「では稽古、できますね?」


彼は私を、隊士にしようとしている。

しかもそれは、"偽り"の隊士としてではなく、

"真"の隊士として---…


「――はい!」


私は隊士になることを、決意した。


この幕末という、激動の時代を……


「総司!」


――新選組隊士として、生きることに。


「まぁいいじゃないか、トシ。悪いことを言うのは、稽古が終わってからだよ」


土方さんはまだ納得してないみたい。

近藤さんは、そんな土方さんを宥めていた。


…でもまだ、採用が決まったわけじゃないし、この稽古がどうなるのかも分からない。


私はこれから、どうなるんだろう---…


「近藤さんは人が良すぎる…」


そう言って土方さんは、呆れてこの部屋から出ていった。

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