ひとひらの願い―幕末動乱―
「……本当は私の願いなんて聞いてくれないくせに」


知らぬ間に口が動いて、ふてくされた感じでそう呟いていた。

これは土方さんに怒られる-…


「なんだ。分かってるんじゃねぇか」


……と思ったら、何故か怒られず、しかし鼻で笑われた。

意外とこの人っておもしろいかも……


"鬼とか思ってた人が、実は仏だった!?"


みたいな思考が一瞬、私の脳を駆け巡った。

本人に言ったら殺されるぅぅぅ!!


「そうだな。……小姓ぐらいならいいが」


"小姓"…!?
私が小姓になるっていうんですか!?
それはないない-…


「……俺の小姓、やってみるか?」

「はぃぃい!?」


ひっ…土方さん、の-…小姓――!?

私を驚かすように、彼は冗談っぽいけど、冗談じゃない顔をして、…しかも不気味な笑顔で、言われた。


「い……嫌、です」

「おい。俺の言ったことに逆らうのか?」


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