ひとひらの願い―幕末動乱―
嫌と言うつもりはなかったけど、はっきりと口にしてしまった。

確かに、この人に逆らえば、私は今日限りで隊から退くように、とでも言われるだろうな…

―いや、腹を切れ、とまで言われるかもしれない。

だったら私は---…


「……分かりました! では今日より、副長の小姓とさせていただきます!!」


もうその返事しか、私はできないんだ。

もうその返事しか、私をここにいさせてくれないんだ。


やっと、自分で理解できた。

何故土方さんが、『俺の小姓、やってみるか?』と、女の私に言ってくれたのか……

それは私が、女で、童で。

だから戦う必要のないように、するためだったんだ――――‥


「……土方さんって、意外と優しいんですね…」

「あ? 何か言ったか?」


私の声が小さかったらしく、土方さんは聞き返してきた。

でも私は、答えようとしなかった。

"鬼"の土方さんには怒られたくないし……


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