ひとひらの願い―幕末動乱―
「副長、何があるんですか…?」

「言っちゃってくださいよ! 土方さん!」

「言うからみんな、あっち行っとけ」


シッシッとやって、なぁんだ、とか沖田さんや藤堂さんは口にしながら、永倉さんは相変わらず無口で、その場から去っていった。


また部屋は静かになり、私と土方さんの二人になった。

土方さんは襖を直し、畳に胡座をかくと同時に、口を開いた。


「―もう少しで、……戦になるかもしれねぇってだけだ。ただあいつらが言いたいのはそれだけじゃない…」

「戦―――!?」

「まだ幹部の者しか知らねぇ。だから口外するんじゃねぇぞ」

「…分かりました。もう一つ、何かあるんですか?」


"戦"―――――…

今の私には、あまり馴染みのない言葉。

心に深く、刺さってきた。


「今、前川邸の蔵に、古高 俊太郎ってヤツを縛って放置している。枡屋喜右衛門とかいう偽名を使っていやがった野郎さ」

「古高…俊太郎……?」


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