ひとひらの願い―幕末動乱―
第4章 優しさの裏側
台所に着くと、何やら音がする。

誰か…いる---…?


「―誰かいるんですか…?」


とりあえず、誰もいないとしても、声をかけてみる。

ガサッ


「…いるんですね?」

「何だよ! ただ食ってるだけじゃねぇ…か……!?」


すると奥の方から男の人が一人、食べ物を持ちさらにくわえて、姿を現した。

そして私を見た瞬間、くわえていた食べ物を落とした。


「お前……女だったよな?」

「へ…? ち…違いますけど。何か…?」


また私は知らぬ間に否定していた。
これは偽りの隊士だよね!?

それにしても、"何か"って何だ自分っ!!

年上の男の人に向かってそんなことを……!!

私は慌てて口を押さえたけど、もう言葉が出てしまった後…
もう戻れませんね。えぇ……


「このことは、誰にも言うなよ!」

「は、はい…」


いや、誰しもが気づかないわけないですよね? これ。

こういう人ですもんね、原田さんて。



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