ひとひらの願い―幕末動乱―
「織さん、お茶の煎れ方知らないって言うので」

「はぁ!? 女のくせに茶も煎れらんねぇってのか!! 何て野郎だ…」

「あ、でも心配しないでください! 他はできるようですから」


目をキラキラと輝かせて、土方さんを見る沖田さん…

なんて言い訳をしてくれてるんですかっ!! 沖田さんッ!!

私、そんな何もできないような女じゃないです!
って、言いたいけど言えない…!

あれ…でも、"他はできるようですから"って何?
どういう意味なんですか、それッ!?


「そりゃあどういうことだ、総司」


沖田さんは、眩しいほどの笑みを浮かべている。

もうこの時点で、何か嫌な気持ちになる。


―今の沖田さんは、私の知ってる沖田さんじゃない!!


「ちょッ…沖田さん!!」

「あ、本人いるの忘れてました!」


あはは、と笑う沖田さんを見て、私の心は揺れた。

沖田さんも何なんだぁあ!?


「ひどいですよっ!」

「別にひどくなんかないでしょう。私が言い訳したまでですから」


< 28 / 98 >

この作品をシェア

pagetop